公開日 2025年3月13日
〇予算とは
予算は、地方公共団体の一定期間(一会計年度)における収入と支出の見積りであり、行政がどのような形で行われるか具体的に表現し、一覧表(予算書)にしたものです。予算は、地方公共団体の長が調製し、議会の議決を経て成立します。
〇予算の分類
会計上の区分
区分 | 説明 |
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一般会計 | 地方公共団体の会計の中心をなすもので、地方公共団体の行政運営の基本的な経費を網羅して計上した会計です。 特別会計で計上される以外の全ての経理を一般会計で処理しなければならないとされています。 |
特別会計 | 特定の事業を行う会計であって、特定の歳入をもって特定の歳出に充て、一般の歳入歳出と区分して収支経理を行う会計です。 中野市には、国民健康保険事業特別会計・後期高齢者医療事業特別会計・介護保険事業特別会計・倭財産区事業特別会計・永田財産区事業特別会計・中野財産区事業特別会計があります。 |
企業会計 | その事業における収入で、その事業の経費を賄うことを目的として設置される独立採算が原則の会計です。中野市には下水道事業会計と水道事業会計があります。 |
成立による区分
区分 | 説明 |
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当初予算 | 年度開始前に年間予算(年度内の総収入と総支出を見積もったもの)として編成し、成立した基本的な予算で、「通常予算」又は「本予算」ともいわれます。 |
補正予算 | 予算調整後に生じた事由に基づき、既定の予算(当初予算等)に、増額、減額、その他の変更を加える必要が生じた時に調整する予算をいいます。 |
〇予算の内容
予算は、次に掲げる事項により構成されます。
区分 | 説明 |
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歳入歳出予算 | 収入及び支出を計上したものであり、歳入歳出とも、「款・項・目・節」の科目からなります。 歳入は、性質に従って「款」に大別し、「項」に区分します。 歳出は、その目的に従って「款」・「項」に区分します。 この予算の「款」・「項」が議会の議決の対象(議決科目)となりますが、予算を議会に提出するときには、予算に関する説明書として「目」・「節」別の「予算事項別明細書」を付けることとされています。 |
継続費 | 地方公共団体の経費による事業で、その履行が2カ年以上にわたる場合に、支出すべき経費の総額及び年割額について、予算として議会の議決を受け、数年度にわたって支出することができる経費をいいます。 |
繰越明許費 | 歳出予算のうち、その性質上又は予算成立後の事由等により年度内にその支出を終わらない見込みのあるものについて、予算として議会の議決を受け、翌年度に繰り越して使用することができる経費をいいます。 |
債務負担行為 | 継続費と同様、年度をまたがる予算の一種です。当該年度には契約行為のみを行い、翌年度以降に歳出予算を組んで、その債務を解消していくものです。 |
地方債 | 地方公共団体が事業を実施する際に、財源不足となる場合や多額の資金を必要とするときに、財政負担を平準化するために長期の借入資金を借り入れして財源とするものが地方債(市債)です。 |
一時借入金 | 資金不足が見込まれたとき、指定金融機関などから一時借入を行います。一時借入金は、地方債と異なり、その年度中の資金繰りのために借り入れるものであり、借り入れた年度中に返済しなければなりません。 |
歳出予算の流用 | 予算は、各款又は各項の間において相互に流用することはできません。ただし、歳出予算の各項の経費は、予算に定める場合にのみ流用することができます。 |
〇予算の原則
予算は、その確実な実効性を確保するために、次の原則があります。
区分 | 説明 |
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総計予算主義の原則 | 一会計年度における一切の収入及び支出は、全て歳入歳出予算に計上しなければなりません。予算は、歳入歳出を相殺しないで、収入の全てを歳入予算に、支出の全てを歳出予算に計上します。 ※地方公共団体の予算は、予算を通じて収入・支出の実態が把握でき、予算執行上の責任を明瞭にし、予算の全体を明らかにすることのできる方法として、「総計予算」の方法がとられています。 |
会計年度 独立の原則 | 各会計年度における歳出は、その年度の歳入をもって充てなければなりません。 ※各会計年度の歳出は、当該年度の歳入でまかない、当該年度の歳出は、年度中においてのみ執行することができます。 例外:継続費の逓時繰越、繰越明許費など ※普通地方公共団体の会計年度は、毎年4月1日に始まり、翌年の3月31日に終わります。 |
予算の事前 議決の原則 | 予算は、地方公共団体の一定期間における経費の見積もりであることから、この一定期間の開始前に議会の議決を経て、年度開始と同時に効力を生ずるものです。 政令指定都市以外の市及び町村は、年度開始前20日(3月12日)までに予算を議会に提出し、議決を得るものとされています。 |
〇歳入予算
区分 | 説明 |
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一般財源 | 財源の使途が特定されず、どのような経費にも使用することができるものです。地方税・地方交付税・地方譲与税・交付金・地方特例交付金・特別交付金・臨時財政対策債等です。 |
特定財源 | 用途が特定される財源です。国庫支出金・県支出金・市債などがあります。 |
市税 | 市民税、固定資産税、都市計画税、たばこ税などの税金です。 |
地方譲与税 | 国税として徴収され、一定の基準に基づき地方に譲与されるものです。 |
利子割交付金 | 利子の支払を受ける際に県税として一括徴収され、その一部が市町村へ交付されるものです。 |
配当割交付金 | 特定配当等の支払いを受ける際に、県税として一括徴収され、その一部が市町村へ交付されるものです。 |
株式等譲渡所得割交付金 | 特定株式等の譲渡所得のあった場合に、一括徴収された県税の一部が市町村へ交付されるものです。 |
法人事業税交付金 | 地方法人特別税・譲与税廃止に伴う市町村分の法人住民税法人税割の減収分の補てん措置として、法人事業税の一部が県から市町村に交付されるものです |
地方消費税交付金 | 地方消費税のうち市町村分相当額を、県が人口及び事業者数で按分し、市町村に交付するものです。 |
ゴルフ場利用税交付金 | ゴルフ場所在市町村に対し、ゴルフ場利用税の一部が県から交付されるものです。 |
環境性能割交付金 | 令和元年10月に廃止された自動車取得税の代わりに徴収され、その一部が市町村へ交付されるものです。 |
地方特例交付金 | 恒久的減税による地方税収の補てんに対する措置として創設されました。住宅借入金等特別控除の減収分と、定額減税等による減収分の減収補てん特例交付金が国から交付されるものです。 |
地方交付税 | 全国一律の行政サービスが受けられるように、国税の一部を財源として国が一定基準により市町村に交付するものです。 |
交通安全対策 特別交付金 |
道路交通法により納入された反則金を原資に、交通安全施設の整備等に充てる経費を国が交付するものです。 |
分担金及び負担金 | 地方自治体が行う事業により利益を受ける方から、徴収するものです。例えば保育所の保育料などです。 |
使用料及び手数料 | 公の施設等の利用料金や、特定の方に対する役務の対価などです。 例えば公民館施設の使用料金や住民票の写しの発行手数料などです。 |
国庫支出金 | 地方自治体が法令に基づき実施しなければならない事務や、国と相互に利害関係のある事業に要する経費の財源として、国が地方公共団体に交付するものです。 |
県支出金 | 特定の事務事業に要する経費の財源として、県が市に交付するものです。 |
財産収入 | 公有財産のうち行政財産を除いた財産の貸付や運用等による収入です。例えば基金運用利息などです。 |
繰入金 | 会計間で相互に資金運用を行う場合、他会計から資金が移されることを繰入といいます。逆に移す場合は、繰出といいます。 |
繰越金 | 決算上剰余金が生じた場合、翌年度の財源として繰り越します。 |
諸収入 | 予算科目のどの科目にも属さない収入が諸収入となります。延滞金・雑入などです。 |
地方債 | 地方公共団体が事業を実施する際に、財源不足となる場合や多額の資金を必要とするときに、財政負担を平準化するために長期の借入資金を借り入れして財源とするものが地方債(市債)です。 |
〇歳出予算(目的別)
区分 | 説明 |
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議会費 | 議会活動に必要な経費です。議員報酬や政務活動費などです。 |
総務費 | 全般的な管理事務、庁舎管理、徴税、戸籍、選挙などの費用です。 |
民生費 | 住民の一定水準の生活と安定した社会生活を保障するために必要な経費です。社会福祉や児童・老人・障がい者福祉、生活保護などの費用です。 |
衛生費 | 健康で衛生的な生活環境を保持するために必要な経費です。保健衛生やごみ収集、公害対策などの費用です。 |
労働費 | 労働者福祉対策、雇用対策などに必要な経費です。 |
農林水産業費 | 農林水産業の振興に必要な経費です。農業委員会費や農業生産基盤の整備などの費用です。 |
商工費 | 商工業の振興、観光、企業誘致などに必要な経費です。 |
土木費 | 道路・公園・下水道などの建設や維持、都市計画などに必要な経費です。 |
消防費 | 火災予防対策、消防施設の整備・管理、消防団などに必要な経費です。 |
教育費 | 教育委員会の費用・学校教育・社会教育などに必要な経費です。 |
公債費 | 地方債の償還(返済)に必要な経費です。 |
災害復旧費 | 風水害などの災害により被災した施設を復旧するために必要な経費です。 |
予備費 | 予算の議決後に、不測の事態が生じた場合に対処するための経費です。 |
〇歳出予算(性質別)
区分 | 説明 |
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人件費 | 地方自治体職員の給与や退職金、議員や委員の報酬などの経費です。 |
物件費 | 消費的性質の経費の総称です。賃金、旅費、交際費、需用費、役務費、備品購入費、報償費、委託料、使用料及び賃借料等です。 |
維持補修費 | 公共用施設等の維持管理の経費です。 |
扶助費 | 生活保護法や児童福祉法等に基づき、児童・高齢者・生活困窮者などを援助するための経費です。 |
補助費等 | 各種団体に対する助成金や一部事務組合への負担金などの経費です。報償費や保険料、負担金・補助金及び交付金などです。 |
公債費 | 地方債の償還(返済)に関する経費です。 |
積立金 | 財源に余裕がある場合や、計画的な財政運営を行うための基金への積立です。 |
出資金及び貸付金 | 個人や財団法人等に対する貸付金や出資金などです。 |
繰出金 | 一般会計と特別会計間の予算の相互充用及び定額運用基金等に支出する経費です。 |
普通建設事業費 | 道路、橋りょう、学校、庁舎等公共又は公用施設の新増設等の建設事業に要する経費です。 |
〇決算とは
一会計年度の歳入歳出予算執行の実績について、確定した集計をいいます。決算により歳入歳出予算に対する実際の収支状況が明らかにされ、予算の適正な執行の有無が確認されることになります。決算は会計管理者が調製し市長に提出します。市長は監査委員の審査を受けた後に議会の認定を受けることとされています。
〇収支
区分 | 説明 |
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形式収支 | 歳入決算総額から歳出決算総額を単純に差引いた額です。 |
実質収支 | 地方公共団体の純剰余金または純損失金を意味し、黒字・赤字団体の区分の指標です。黒字額はおおむね標準財政規模の3~5%程度が望ましいとされています。また、赤字額が標準財政規模の20%以上の場合は、財政再建団体とならなければ地方債の制限を受けます。 実質収支=形式収支(歳入総額-歳出総額)-翌年度へ繰越すべき財源です。 |
翌年度へ繰越すべき財源 | 継続費逓次繰越、繰越明許費繰越等により、事業を翌年度に繰越すときは、その事業に必要な財源も翌年度に繰り越すことが必要となり、その財源をいいます。 |
実質収支比率 | 標準財政規模に対する実質収支額の割合です。 |
単年度収支 | 実質収支が前年度以前の収支の累積であるのに対し、単年度収支は当該年度のみの収入と支出との差額を意味します。 単年度収支=当該年度の実質収支-前年度の実質収支 |
実質単年度収支 | 単年度収支に当該年度に措置された黒字要素と赤字要素を加味したものです。基金への積立や繰上償還は黒字要素、基金を取崩した場合は赤字要素と考えられます。 実質単年度収支=単年度収支+財政調整基金積立額+地方債繰上償還金-財政調整基金取崩額 |
財政調整基金 | 年度間の財源の不均衡を調整するための基金です。 |
減債基金 | 公債費の償還を計画的に行うための資金を積み立てる目的で設ける基金です。 |
公共施設等整備基金 | 公共施設等の整備を図るための基金です。 図書館、公民館、学校、道路、公園などの公共施設などの整備に活用します。 |
〇地方交付税
区分 | 説明 |
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普通交付税 | 基準財政需要額が基準財政収入額を上回った財源不足団体に対して交付され、交付税総額の94%を占めます。 |
特別交付税 | 普通地方交付税だけでは補いきれない特別の財政需要に対し交付され、交付税総額の6%を占めます。 |
標準財政規模 | 地方公共団体の通常的な状態で通常収入されると見込まれる経常的な一般財源の規模を示します。 標準財政規模=標準税収入額等+普通交付税 +臨時財政対策債発行可能額 |
基準財政収入額 | 普通交付税の算定に用いるもので、各地方公共団体が合理的かつ妥当な水準における行政を行い、または施設を維持するための財政需要を一定の方法によって算定した額です。実際の収入実績ではなく、客観的なあるべき一般財源収入額としての性格を有するものです。 標準的な地方税収入×0.75+地方譲与税等 |
基準財政需要額 | 普通交付税算定の基礎となるもので、各地方公共団体が合理的かつ妥当な水準における行政を行い、又は施設を維持するための財政需要を一定の方法によって合理的に算定した額です。基準財政需要額が基準財政収入額を超える地方公共団体に対して、その差額(財源不足額)を基本として普通交付税が交付されます |
財政力指数 | 地方公共団体の財政力を示す指標で、基準財政需要額に対する基準財政収入額の割合で、過去3年の平均値です。数値が大きいほど財源に余裕があるとされ、1を超える団体は普通交付税の不交付団体となります。 財政力指数=基準財政収入額/基準財政需要額 |
〇指標
区分 | 説明 |
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経常収支比率 | 財政構造の弾力性を判断する指標で、地方税・普通交付税を中心とする毎年度経常的に収入される経常一般財源が、人件費・扶助費・公債費などの毎年度経常的に支出される経常的経費にどの程度充当されているかの割合を示すものです。この数値が高まると財政構造が弾力性を失いつつあると考えられます。 経常収支比率(%)=経常充当一般財源/(経常一般財源+減税補てん費+臨時財政対策債)×100 |
公債費比率 | 一般財源総額のうち公債費に充当された一般財源の一般財源総額に対する割合です。高いほど財政運営の硬直性の高まりを示しています。一般的には、15%が警戒ライン、20%が危険ラインとされています。 公債負担比率(%)=公債費充当一般財源/一般財源総額×100 |
健全化判断比率 | 実質赤字比率、連結実質赤字比率、実質公債費比率、将来負担比率の4つの指標を指すもので、地方公共団体の財政の健全化に関する法律に基づき、毎年度の決算について各比率を明らかにすることとされています。 |
実質赤字比率 | 地方公共団体の一般会計において、翌年度の歳入を繰り上げて充当する等、その年度に支払うべきものを翌年度に繰り延べているなどの実質的赤字が、財政規模に対してどの程度の割合になっているかを示す指標です。 |
連結実質赤字比率 | 特別会計、企業会計を含めた地方公共団体の全会計を合算した結果の実質的赤字が、財政規模に対してどの程度の割合になっているかを示す指標です。 |
実質公債費比率 | 実質公債費比率とは、一般会計における地方債の償還額に、特別会計と企業会計における地方償還額のうちの一般会計負担分などを加えた実質的な公債費が、財政規模に対してどの程度の割合になっているかを示す指標です。 |
将来負担比率 | 将来負担比率とは、一般会計の地方債の残高や特別会計や企業会計の地方債残高のうちの一般会計負担見込み、また、市の全職員が退職すると仮定した場合の退職金支払見込みなどに加え、土地開発公社などの関係団体の負債などを含めた将来的な負担見込みが、財政規模に対してどの程度の割合になっているかを示す指標です。 |
資金不足比率 | 資金不足比率とは、地方公共団体の公営企業(企業会計)において生じている赤字が、事業規模に対してどの程度の割合になっているかを示す指標です。資金不足比率の算定に用いる事業規模は、公営企業における標準財政規模に相当するものであり、主に営業収入の総額です。 |
プライマリーバランス |
国や地方自治体などの基礎的な財政収支のことをいいます。 過去の借入金の元利償還金を除く歳出(現在の行政サービスに必要な歳出)が、地方債を除いた市税等の歳入で賄えているかどうかを示す財政収支のことです。 プライマリーバランスが黒字の場合は、市債残高が減少していきます。 |